雑記帳 back number
2014

□新刊本、トークイベントと掲載雑誌のお知らせ□


「柚木沙弥郎 92年分の色とかたち」
写真:木寺紀雄
編集:柴田隆寛、熱田千鶴(株式会社イーター)
出版:グラフィック社
定価:2200円+税

◇「柚木沙弥郎92年分の色とかたち」が刊行されました。最新作から蒐集品、書き下ろしのエッセイも収録されています。

◇出版を記念して渋谷にある本屋さんSHIBUYA BOOKSELLERSにて11月13日(木)にトークイベント「92歳。そして人生とアートは、続く。」が開催されます。詳しくは下記アドレスよりご覧ください
http://www.shibuyabooks.net/commerce/special/lab.cgi

◇雑誌「藝術新潮11月号」にインタビュー記事が掲載させています。

 

パリ ギメ展レセプション番外編 

私のスピーチが終わって大きな扉が開かれました。待ちくたびれた日仏の大勢の人々がどっと会場に入って行きました。
左右半円形の会場は階下に図書館を具えたギリシャ風の彫刻をいただく柱に支えられたクラシックな吹き抜けの建築です。

このレセプションの行われる前にプレスの人々の質問がありました。印象に残ったのは一人の若い青年が興奮気味で私にいろいろ尋ねに来たことでした。「いつから伝統からコンテンポラリーに変わったのか」「その動機は何なのか」「いろいろなモチーフがあるようだが作品にする迄どんなプロセスで仕上げるのか」「最後に我々記者達の多くはこの作品群を見て興奮している。第一楽しい。元気が出た」と。

私はこの展覧会の準備中8月9月、フランスのバカンス前後、ずーと会場構成についての日仏のやりとりが難航したことを知っています。ギメの当事者の学芸員が自分のこの会に対するプランをキチンと建てていて、一歩も自らの方針を曲げようとしないのです。それは自分達ギメ美術館は国立であり、ギャラリーではない教育的見地があるというのです。それでこの作者の原点はアイヌだということ、もう一つは作品を製作年順に陳列すること、作者の使う道具を持ち込み型染めというものが分かるようにすること、などです。

幸い北野武さんのご好意によって、かつて作った「たけしアートビート」の番組を短く再製し、武さんのメッセージをフランス語で吹き込んだビデオを会場で見せることで型染めの実際のプロセスがわかるようになりました。しかしアイヌの厚子はそのまま残っています。

ともかく皆さんの努力の結晶がこの展覧会なのです。
どうぞご想像の上、ご覧ください。

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2014年10月28日 update

 

2014年10月7日夕

パリにあるフランス国立ギメ東洋美術館日本フロア特別展示室で「La Danse des formes 柚木沙弥郎のテキスタイル作品展」の開会レセプションが行われました。ギメの館長の挨拶に続いて私のスピーチが通訳つきで行われました。その内容のあらましを解説を加えて紹介します。長いけれどあとでゆっくり見て頂けたら嬉しいです。

開会レセプションにおけるスピーチ

 

ギメ美術館サイトのyunoki展詳細

 

2014年8月8日

ギメ展によせて

今秋10月8日初日〜来年1月12日 パリのギメ美術館で「(仮称)おどるかたち 柚木沙弥郎展」が開かれます。
私がパリで三回開いた作品展の会場(2008年)にきてくれたギメ美術館のスタッフから声をかけられて以来、今度急に決まったのです。それはギメの事情で度々変わったこの度の新館長の英断によるものと聞いています。一寸急なことなので万事準備不足ですが貴重なチャンスはもうないので喜んで応じることにしました。

私は画家の父からフランスが文化と芸術を大切にする国だと聞かされていました。私も1967年に初めてパリを訪ねて以来度々それを実感しました。この十年、自分の作品の着地点はパリと心に決めたのです。それは私の片思いかもしれませんが、自分の作品を認めてくれたこと、そして完全に保管し世界中に紹介してくれるのですから作家にとってこんな幸せなことはありません。勿論日本の美術館への貸し出しも可能でしょう。

この度のことは日仏の沢山の方々の励ましと協力によるものであることを感謝しています。そしてこれをよい機会に日本の工芸やアートを作っている若い人たちとパリとのパイプが出来るならば私はこんな嬉しいことはありません。

作品のお披露目の展覧会は私のギメに寄贈した全作品の半分30点前後ですが、初期のものから近作まで含まれるはずです。
尚、初日10月8日はレセプションも予定されています。

ギメ美術館サイトのyunoki展詳細

 

2014年7月15日

朝日新聞の首都圏版夕刊の「オトコの別腹」にインタビュー記事が掲載されました。

http://www.asahi.com/and_M/living/SDI2014071710171.html?iref=andM_kijilist

 

2014年5月16日

身辺雑話を終えて

四月末から腰を痛めて毎日何も仕事らしいことはしていません。それも負け惜しみみたいですが、いろいろなことを考える期間なのかもしれません。車椅子で公園に行くと新緑の中でジョギングをする人、犬の散歩をする人、ピクニックをしている家族、日光浴中の人、いろいろです。土日は大変な人出ですが平日でも割合大勢の人です。それぞれの日常の中でこんな時間を過せることは幸せだと思います。

僕の住んでいる町にも雑貨を売る店がポツポツ増えてきました。昔は荒物屋とか金物屋といっていた店ですが、今はそんな実用一点ばりでなく楽しい生活に何か面白いものが見つかるかも、という期待があるようです。お店にとっては売れなくては勿論困るのですが、さういうイマジネーションのコミュニケーションが我々の日常でお互いに飛び交えば楽しいに違いありません。ぼくはさうしたグッズを紹介する雑誌を見るのが大好きです。そこにはファッションもあるでしょうが今人々が生きている態度、好み、やり方、空気と云ったものが見えてくるのが楽しいのです。

一日があっという間に終わって次の日が来ます。イエスタデーはたちまちノスタルジーの対象になり、いとおしく思えます。時々刻々ノスタルジーがあふれかえって書き留めておかなくては勿体ないと考えて小さな絵を作ったのです。

今後の催しの予定

・松本展 8月21日〜9月3日 (松本市中央民芸家具ショップ)
・岩手県立美術館 10月4日〜2015年4月19日
・盛岡光原社

 

2014年5月15日

once upon a time

once upon a time

いつかどこかでの賑やかな通りの風景。上段はフランス製、下はドイツ製。原寸大の玩具。フランスはのんびり、ドイツはきちんとできている。

 

2014年5月14日

空、海、船

空、海、船

ぼくは子供のときから船の姿にあこがれている。サンチャゴの古物屋の倉庫で船員が航海中か上陸してからか退職してからか、自分の乗っていた貨物船を作ったかと思われる荒っぽいけど愛情を込めた模型があった。勿論すぐ欲しいと思って入手した。
この絵はぼくの船へのオマージュ。

 

2014年5月12日

a good joke

a good joke

ぼくも二回参加したパリの印刷物や版画の見本市で入手した古いイラストの模写です。原画については題名そのまま。こんなに笑えるのは余程全員に共感できるjokeだったのだろう。愉快さう ほんとうに。

 

2014年5月10日

ブリキの貨車

ブリキの貨車

個展を三度やったリュードセーヌのギャラリーの近くに古い玩具を飾り窓に置いた店があった。ただ何時行ってもドアに鍵がかかっている。きっと変な時間に店の人が来るんだろう。それでようやく店に入れた時、買ったのがこの種の貨車で他にも大分こわれた1930年代の大型客船があった。もっとも実物は30cmもないのだけれど。こんな店がパリには他に何軒かあるらしく地図に印をつけてくれたけれど、今の僕には探しまわるエネルギーがないのは残念だ。

 

2014年5月9日

豚の貯金箱

豚の貯金箱

この立派な豚をコインを取り出すために割る人がいるのだろうか。

洋梨とざくろ

洋梨とざくろ

 

2014年5月7日

トラックとレースカー

トラックとレースカー

うちのアンチークの机は甲板が傾いているから置きようで車が走ってしまう。うちから出たところも少し坂道だからぼくの車椅子もブレーキをしないと危なくてしょうがない。

シェルトリンド

シェルトリンド(美しい空)

パコ・デルシアのギターを聞く。この人形を見ていると、そんなにいそがないで、ゆっくり、ゆっくり、そして「それは君が考えこむほどのことははいのさ」と言っている気がするのだ。

 

2014年5月6日

聖夜

聖夜

倉敷に住んでいたぼくは駅の売店に聖夜のイエスが降誕するシーンをかいた芹沢_介先生の週間朝日の表紙を見つけた。まだ先生に会ったこともなく、その時の歓びとトキメキは生涯忘れられない。この絵は原寸くらいの小箱で扉を開くと厩の中に赤ん坊のイエスを囲んで牛や馬や東方から来た王たち。一種の携帯できるお守り。メキシコ製。ぼくは中身より箱が好きだ。

卓上のくだもの

卓上のくだもの

お正月がくるので机の上の新聞や雑誌その他いつも山のようになっているものを片付けた。くだものを並べてみる。

 

2014年5月5日

クラコフのコウノトリ

クラコフのコウノトリ

クラコフの画家のうちでお昼をごちそうになった。その家は郊外にあって一軒家なのだ。その時、窓の下をシャガールが描くようなヴァイオリン弾きがやってきた。

人形劇

人形劇

 

2014年5月4日

波濤をこえて

波濤をこえて

父は神戸からマルセイユまで40日の船旅たっだそう。

人形の椅子

人形の椅子

アメリカの古道具屋にポツンとあったこの小さな赤い椅子。ぼくが買わなくて誰が買う。

 

2014年5月3日

トラックに乗った牡牛

トラックに乗った牡牛

想像するにアメリカのお父さんが息子のためにクリスマスの前にこっそり何晩もかかって作ったものじゃないだろうか。メキシコの手づくりの牡牛をのせてみるとばかに相性がいい。

自作の指人形

自作の指人形

ぼくの思い出のこもった古ギレを着たこの人形よ。永遠なれ。
(近くパリの美術館に嫁入りする)

 

2014年5月2日

自作の指人形

ペルーの埴輪

これはニューメキ物産館でかったのだけれど、古代の埴輪に全く負けないよ。

乾いたとうもろこし

乾いたとうもろこし

 

 

2014年5月1日

公園に行く道

公園に行く道

青い空 今日こそ公園に行こう。

 

家族写真

家族写真

祖父を中心に一族が写っている写真がある。この中に今生きているのは僕だけだ。それはどうでもいいのだが祖父が一人横を向いている。それは自動シャッターを切った叔父がどこに立つのかと気になってこの始末になったのだ。その当時、撮り直すチャンスはなかったのだろう。

 

2014年4月30日

紙袋

紙袋

モリエールの像のそばのホテルに泊った。そこの近所にパン屋がありいつも窓ごしに職人がパンをこねてかまどにいれているのを見ていた。東京に帰る日、パンを買った。その日のタクシーのドライバーは女の人で、重いカバンをぽんとトラックに放り込んだ。車が走りだすとドゴール空港につく迄、片手を振り振り話し続けた。

 

ビーフカレー

ビーフカレー

 

2014年4月29日

ギニョール

ギニョール

パリの民族アート美術館にはたくさん子供相手の人形芝居の人形がある。それを見たとき思い出した。昔父が新聞紙をこねて粘土にして指人形を作ってくれたのはこれだったんだ。

晩秋

晩秋 食べごろを逸した洋梨

何日もたって丁度いい頃切ると切り口がとても美しいので、とうとう食べられなくなるまで眺めていた。

 

2014年4月28日

卓上風景

卓上風景

ボナールという画家はよく卓上の風景をかく。そばに女性や犬がいる。そして何よりも美しい色が毛糸のようにあたたかい。


ミニチュアの家

ミニチュアの家

 

 

2014年4月27日

洋梨と古いナイフ

洋梨と古いナイフ

朝食の食卓でこのナイフを握るとブルターニュを旅した時のことを思い出す。
マダム・ブィヨンという古物屋で益田夫妻が買って僕とドライバーになってくれた青年に分けてくれたこのナイフ。しっかり握り手の先まで刃があって手に持った重さや手応えがいい。さびるのが難点だけれど僕には料理にも食事にも欠くことのできない一品なのだ。夫々皆んなの朝食の時、同じことを思っているに違いない。


サンタフェの熊

サンタフェの熊

作者が作家というので値が高かった。しかし今になってよく見ると案外のんびりしたとこがあって、あの時止めなくてよかったと思う。

 

2014年4月26日

大きな瓶

大きな瓶

古い吹きガラスは勿論ガラス瓶はペットボトルより、遥かに人間臭い。


セプテンバー

セプテンバー

猛暑の羽田からキラキラ雨あがりのロンドンのホテルに荷をおろした。窓を開けると中庭で鳩が鳴いている。セプテンバー!

 

2014年4月24日

カフェオレボール

カフェオレボール

今思えば子供の頃、多分輸出用に作られたこの絵と同じ手のボールでコーヒーを少したらしたミルクを飲んでいたんだ。


クロワッサン

クロワッサン

 

2014年4月23日

赤い缶

赤い缶

燃えないごみなんて勿体ない。


ひまわり

ひまわり

もう夏の終わりの頃、いつも通る横断歩道の路肩に車のガスを浴びながら花を咲かせているひまわりがあった。角のタバコ屋に相談したら植えた人にかけ合ってくれてその日の夕方、ユッサユッサと担いで来てくれたのには感謝した。

 

2014年4月22日

メキシカン

メキシカン

ぼくの作品展の同じ棚にあったこの人形たち。詩人の宇佐美英治先生がそばに来て「これ君が作ったの?」と小さな声で聞かれたっけ。

 

ペルーの羊とグアテマラのタイル

ペルーの羊とグアテマラのタイル

縫いぐるみの兎

縫いぐるみの兎

体のなかに重りの砂が入っていてい下に置くとぐしゃっとへたり込む。今の僕のよう。

 

2014年4月19日

クラフトスペースわ 身辺雑話展について 4月21日〜5月4日

普通作者は自作の説明はしない。しかし僕の今度の場合、絵を見る人に是非伝えたいその場や時の思い出を言葉にして残したいと思いました。それは長年身辺にあって、僕の相手をしてくれたものに対するオマージュであり、そして僕のノスタルジーなのです。

ぼくのツェッペリン

ぼくのツェッペリン

飛行船ツェッペリンの東京飛来(昭和4年)はぼくの少年時代のハイライトだ。小学校一棟ぐらいの長大に見えたその勇姿と地鳴りのような爆音。友達に頭の後ろにフワフワッと長い子がいて、翌日から仇名がツェッペリンとなった。この絵のツェッペリンは原寸大でクリスマスのオーナメント。

夢の中を走るトラック

夢の中を走るトラック

散々子供の遊び相手を果したこのブリキのトラックは今僕の棚の上で静かに故郷のロスアンゼルスの夢を見ている。このトラックは頑丈でシンプルそしてリアル、これぞTin Toy!

 

2014年2月14日

いつの間にか我が家に溜まったメキシコ玩具やブリキの自動車、空瓶、空箱等は僕にとってはどれ一つ捨てられないものばかりです。それを一つ一つ手にとって眺めているとOnce upon a time と話しかけてくるのです。

今僕はさうしたもの達との会話を絵にしているところです。絵のサイズは大きくても20×25センチと小さいのですが手作りの額も用意されていて楽しいです。
絵の展示は渋谷のクラフトスペースわで4月下旬から5月上旬を予定しています。

今年の僕の作品発表は以下のとうりです。

・国展(六本木国立新美術館) 5月1日〜5月12日

・IDEE Shop NIHONBASHI open記念 柚木沙弥郎新作展 3月20日〜4月21日

・岩手県立美術館 常設展3期4期展示として 10月4日〜2015年4月19日

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