おーい ぽぽんた
The Anthology of Japanese Poetry
編集委員 茨木のり子・大岡信・川崎洋・岸田衿子・谷川俊太郎
画 柚木沙弥郎 

2001年 福音館書店刊 2,400円

 主に小学生を対象にした詩歌のアンソロジーである。前編を貫く思想は「声を出して読み、覚え、暗唱する」重要性だろう。『万葉集』の詩歌に芭蕉や蕪村の名句がある。高村光太郎や萩原朔太郎といった自由詩の名品も。俳句・短歌は編者大岡信による勘所を押さえた鑑賞編が用意されており親切。詩に関しては語釈や解説はなく、知性で理解するよりも感性で音の響きを楽しもうという姿勢が優先された。所収の全166篇を実際に音読する。たとえ意味がわからなくとも、言葉の美しい連なりを丸ごとのみ込むことが、楽しい体験だとすぐわかる。書名は、風に乗って飛ぶたんぽぽを様々な名前で呼びかける川崎洋の詩編「たんぽぽ」から採られた。綿毛に包まれた言葉の種が、詩の花をどこかあこがれの地で咲かせようと青空を浮遊する・・・。そんな解釈もできる明るい作品が、詩華集のもつ雰囲気を見事に体現している。
(読売新聞‘01年5月6日付今週の赤マルより)

 

 

<詩>
豚―八木重吉
たんぽぽ―川崎洋
おれはかまきり―工藤直子
クロヅクミ―高村光太郎
ひばりのす―木下夕爾
わからんちゃん―まど・みちお
ねこふんじゃった―阪田寛夫
きりなしうた―谷川俊太郎
雲―山村暮鳥
夜道―辻征夫
鰻と蛙―草野心平
どうぶつはいくあそび―岸田衿子
おねえちゃん―佐藤信
なめくじのうた―室生犀星
退屈―杉山平一
雪―三好達治
からたちの花―北原白秋
高原―宮沢賢治
はるなつあきふゆ―大岡信
椰子の実―島崎藤村
少年の日―佐藤春夫
筍―中勘助
外出ぎらい―新川和江
未確認飛行物体―入沢康夫
蛇―千家元麿
宣言―石川逸子
春―坂本遼
原爆詩集―峠三吉
山頂から―小野十三郎
るす―高橋新吉
春―安西冬衛
生い立ちの歌―中原中也

 

<俳句>
小林一茶
広瀬惟然
椎本才麿
阿波野青畝
高浜虚子
有井諸九
与謝蕪村
山口青邨
炭太祇
内藤丈草
小西来山
渡辺水巴
高野素十




山口素堂
松尾芭蕉
高井几董
川端茅舎
村上鬼城
松本たかし
山口誓子
飯田蛇笏
星野立子
岩田涼菟
桜井梅室
芥川龍之介
黒柳召波

<短歌>
志貴皇子
柿本人麻呂
安倍仲麻呂
岡本かの子
落合直文
石川啄木
明恵上人
佐佐木信綱
正岡子規
木下利玄
窪田空穂
永福門院
大隈言道
前田夕暮
京極為兼
和泉式部
山上憶良


藤原定家
有間皇子
能因法師
山部赤人
高村光太郎
藤原俊成
木喰上人
菅原道真
大友家持
小野小町
西行法師
良寛
大伴旅人
与謝野寛
寺山修司
若山牧水

与謝野晶子

他全166篇

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